山が虹色に染まる雨の箱根路
一度は行ってみたかった梅雨の箱根路、何度も訪れていますが意外とこの時期の箱根を旅した事が有りませんでした、もちろんお天気には恵まれませんが、訪れた人達を七色の紫陽花が楽しませてくれるのがこの時期ならではの魅力
箱根の深いグリーンを背景に雨に打たれる花々が、何処を切り取っても絵になる山の風景を演出してくれます
先ずは旅のスタート地点、箱根湯本の早川のあじさい橋、元々違う名前だった橋が平成8年早川の環境整備を進めるタイミングで、箱根を代表する花の名前に改名されました
紫陽花が如何に地元・箱根の人々に愛されているかが分かるエピソードです


湯本でのグルメとカフェを楽しんだ後(その記事はこちら)、ガラスと本物の紫陽花の共演が楽しめる仙石原にある『ガラスの森美術館』へ
『ガラスの森美術館』は箱根の山と豊かな水を園内に取り入れ、イタリアのヴィラ風の建物が点在し、異国情緒とガラスの展示が美しくリピーターの多い美術館、私もとても好きな場所のひとつです



この時期の見所は1万5千個のクリスタルガラスのオルテンシア(イタリア語で紫陽花)と本物の花の共演



紫陽花のヨーロッパ名・オルテンシアはそのまま女性の名前にもなっていて、フランスルイ14世の治世で実質的宰相の地位にあったマザラン枢機卿の姪で、剣や銃を携える男装の麗人として名を馳せたオルテンシア・マンチーニ等が有名です
もしかしたら小学生の頃流行した手塚治虫作品『リボンの騎士』のモデルかしら(年齢がばれますね)と思って調べると、宝塚歌劇団の舞台を見てインスピレーションを得てアニメ化されたようです、すべて日本のカルチャーから生まれた名作だったのですね




園内のヴェネチアン・グラス美術館では当時の貴族たちを魅了した、門外不出のガラス工芸作品を見る事が出来ます
中世ヨーロッパの東西貿易の中心地だったヴェネチア、ガラス工芸の原料が調達しやすい地の利を活かし、職人をムラーノ島に集め育成し、芸術的なガラス工芸品を作り出すことに成功しました
緻密なレースガラスなどの精巧さと美しさは、現代のガラス工芸の技術者が知見を駆使して再現しようとしても出来ないと言われるほど、ロマンと歴史的価値に満ちています
ヴェネチアに多大な利益をもたらすガラス工芸の技法は、その技術者達も含め島から出られないよう国の厳しい管理下に置かれていましたが、それでもその職人たちが連れ出され(多分密かに)ヴェルサイユ宮殿の鏡の間を造営したそうです
人数も12人と分かっているので、ヴェネチアかフランスでしっかり記録が残っていたと思われる映画になりそうなエピソードです、撮影禁止マークを見て撮れないと思ったのですが、後で良く調べるとフラッシュをたかなければOKだったようです
写真を撮り損ねてしまったのでここには載せられなかったので、ぜひ本物を見に行ってくださいね
たまたま美術館で国際的に活躍する『アルベルト・デ・メイス』のヴァイオリンミニコンサートを聴くことが出来ました、知り合いの声楽家の方がヨーロッパ留学で石造りの建物でクラシックを演奏すると、その反響の妙で自分の声が急に素晴らしく聴こえて驚いたと語っていましたが、コンサートホールよりも距離も近くこの空間で共有される音楽が素晴らしかったです

中でもご本人が本当に美しい音楽ですと熱く語っていた、ピアニストのロルフ・ラブランドとヴァイオリニストのフィンヌーラ・シェリーの二人のデュオが奏でる名曲『ソング・フロム・ア・シーックレット・ガーデン』
レクイエムを想わせるメランコリックな音色が、アルベルトさんの力強いビブラートに乗せられて会場に響き渡ると涙する方も、初めて聴いた曲なのですが本家の演奏がYouTubeにupされていたので、ぜひ聴いてみてください
箱根路の二日目は強羅公園に紫陽花を訪ねてみました、大正時代から既に東京の避暑・別荘地として発展してきた箱根、そこに集う人々の交流の場所として1914年開園し100年以上の歴史があります
強羅の急斜面を生かして作られた庭園は様々な花が咲き、季節ごとに来園者を楽しませてくれていますが、6月はやはり紫陽花が主役、入口の階段の左右から紫陽花の花が出迎えてくれている様でした



この時期の一番の見所はローズガーデンから噴水池にかけての小道に、約300株の白い大輪の紫陽花・アナベルが咲き誇るアナベルロード
アナベルは咲き始めのやわらかなグリーンから純白へと花開き、見頃を過ぎる頃には再び淡いグリーンへと変化する、そのうつろう花の姿がアナベルの魅力のひとつと言われています






公園のお花を観て園内の『一色堂茶廊』(造園を手掛けた当時の第一人者の名前だそうです)へ、ランチの記事はこちらです
ランチの後は強羅駅から紫陽花お花見列車に乗車しました、大平台まで線路の両側に群生した紫陽花を見ながら走ります




大平台で降りると「あじさいの小径」という散策路が有り、とても背の高い紫陽花が線路際に咲いていて、都会の道端の可憐な姿とは違う生命力を感じました




何故箱根にこれほど多くの紫陽花が咲くのかと不思議に思って調べてみると、始まりはとても実用的な目的だったそうです
河津桜の様に一人の篤志家の情熱がその地域を花の里へと変貌させたようなエピソードがあるのかと想像していましたが、登山鉄道の線路際に盛り土が多く、雨で流されるのを防ぐために幾つかの候補の中から紫陽花が選ばれたという事です
鉄道のスムーズな運航の為の紫陽花の植栽でしたがその美しい風景が評判になり、シーズン前になると社員総出で草刈りや紫陽花のメンテナンスを行うことで、今では箱根の大切な観光資源となっています
今回は見られませんでしたが、夜のライトアップで花を鑑賞できる列車も運行されるので、ここでしか見られない美しい景色を是非楽しんで下さい
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