やんば天明泥流ミュージアム

八ッ場ダムで浅間山噴火の歴史も学べる

軽井沢の矢ヶ崎公園から見る浅間山の勇姿。山頂からの景色はさぞかし素晴らしいでしょうが、この火山の頂上に行くことはできません。2004年の噴火の後は落ち着いているようにも見えますが、浅間山では現在も、1日数十回の火山性地震が観測されています。

軽井沢の矢ヶ崎公園から見る浅間山の雄姿

NHK大河ドラマ「べらぼう」に、浅間山の噴火で江戸の人々が恐れおののくシーンがありました。天明3年(1783年)に起きたこの噴火は、浅間山の歴史で最新の大噴火です。溶岩が流れて鬼押出しを作り、土石なだれ、泥流、火山灰は広い範囲に大きな被害をもたらしました。この年には岩木山が噴火したほかアイスランドで火山の大規模噴火があり、北半球で火山灰などの影響から極端な寒冷化が起こりました。これは天明の大飢饉に繋がっただけでなく、フランス革命の遠因にもなったと言われています。

八ッ場ダムからの吾妻峡の眺望

天明の浅間山噴火による死者の大半は、山の北側で発生した土石なだれが原因です。噴火の開始から3ヶ月近くが経った頃、大きな爆発が起こりました。江戸だけでなく、京や大阪でも爆発の音が聞こえたと記録されています。そして土石なだれが発生し、麓の鎌原村を呑み込みました。鎌原観音堂に駆け上がった人以外は助かりませんでした。さらに土石なだれが吾妻川に流れ込んで泥流を発生させました。これを天明泥流と呼びます。泥流は利根川、江戸川を下って東京湾にも達しました。無惨な遺体が流れてきたことが記録されていて、両国の回向院など各地に慰霊碑があります。

やんば天明泥流ミュージアム全景

群馬県長野原町には、吾妻川に2020年に完成した八ッ場(やんば)ダムに関連する様々な施設が整備されていて、川原湯温泉や吾妻峡とともに観光やグルメを楽しむことができますが、施設の一つに、「やんば天明泥流ミュージアム」があります。ダム湖の底になる前の発掘調査で見つかった縄文から江戸時代までの遺跡がここに展示されているなか、今のビルで20階の高さにも達するような天明泥流に覆い尽くされてしまった村々のそれまでの暮らしを、体感シアターなどでの被害の説明とともに展示解説しています。浅間山大噴火のすさまじい力を知るには欠かせないスポットです。

ミュージアムのエントランス

やんば天明泥流ミュージアム
群馬県吾妻郡長野原町大字林1464-3
TEL: 0279-82-5150
長野原草津口駅から車で10分、道の駅八ッ場ふるさと館から徒歩10分
https://share.google/Y3kgVKlMWTH2EQWaz


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