草津温泉や軽井沢を楽しむ時、日帰りで少し足を伸ばして、群馬県長野原町にある八ッ場(やんば)ダムを訪れてみてはいかがでしょうか?

八ッ場ダムは、利根川の支流の吾妻川に建設されたダムです。調査開始から68年の歳月を経て2020年に完成しました。利根川は日本最大の流域面積を持つ川で、例えば東京都民が使う水道水の約8割はこの利根川の水に依存しています。しかしこれまで台風など大雨の際にしばしば洪水を発生させ、流域に甚大な被害を発生させてきました。その一方で、雨が降る年と降らない年での降雨量の差が大きくなってきています。近年の少雨傾向から、利根川全体の水が減少して渇水の危険性も高まっていました。八ッ場ダムは、この利根川の支流である吾妻川で利水、治水、発電を目的として建設された多目的ダムです。2019年10月の台風19号の豪雨は、各地で堤防の決壊を起こすなど大きな被害をもたらしましたが、試験湛水(たんすい)中でほとんど空だった八ッ場ダムを満水にした効果で、利根川は急激な増水を防ぐことができ、無事でした。

しかし、このダム建設には複雑な歴史があります。強酸性の草津温泉と反対の優しいアルカリ性で「草津温泉の上り湯」と呼ばれる名湯の川原湯温泉は、かつての温泉街がダム湖の底となり、現在は移転先の湖畔で旅館が営業されています。先祖代々暮らしてきた人々がダム建設のために新しい住まいに移らなければならなかったことを、利根川水系の恩恵を受けている首都圏の私たちは忘れてはなりません。

さて、まず八ッ場ダムを見ましょう。「八ッ場見放題」という展望台から全体を眺めた後、「なるほど!やんば資料館」の展示を見て、八ッ場発電所のエレベーターでダムの下部に降ります。大量の水が噴き出ているところを間近に見るのは大迫力です。ここから吾妻峡の遊歩道が整備されています。

展望台近くの「うどん専科 麦の香り」は人気店です。11:30頃に行くと既に満席、ウェイティングリスト2番目でした、10分程して着席、口コミでもオススメされている『野菜天のぶっかけ』を注文。群馬の山間で、コシのある讃岐風のうどんと出汁で、天ぷらは鮮度抜群の地元の野菜を大きめにカット、とても食べ応えがありました。


また「道の駅八ッ場ふるさと館」では、嬬恋や北軽井沢のキャベツやトウモロコシの高原野菜、吾妻産のりんご等が並び、Yショップで併設されている店『森のパン工房』で焼き上げた14種類のスパイス入りカレーとポテトサラダをナチュラルチーズでせき止めて(仕切って)八ッ場ダムをイメージした ”八ッ場ダムカレーぱん” が人気です。

ダム建設に伴い、吾妻線の線路は上方に移りました。新しい川原湯温泉駅に隣接してキャンプ場が整備されていて、「川原湯温泉あそびの基地NOA」にはカフェもあります。


さらに、観光船や水陸両用バスで湖面を巡るほか、レンタサイクルやバンジージャンプの施設もあり、1日ゆっくり過ごすことができます。特に、浅間山大噴火の歴史を学べる「やんば天明泥流ミュージアム」は是非立ち寄りたい場所です。詳しくはやんば天明泥流ミュージアムをお読みください。

八ッ場ダム訪問は、豊かな旅の1ページを作ることでしょう。


