ワンダーな未知との出会いの旅ガイド

  • 芦ノ湖畔おすすめカレー・シチューの店

    箱根の山の左右に広がる芦ノ湖、古来関所があった元箱根が観光の中心ですが、仙石原寄りの湖尻や桃源台も遊覧船やロープウェーの発着場所になっていて、魅力的なお店がたくさんあります
    中でもレイクビューの『湖亭』は、本格的なカレーやビーフシチューで有名な人気店、通常チェックアウト11:00~というホテルが多いので、ランチ予定のお店が開くまで時間をつぶしますが、こちらは10:30分からオープンしていてランチタイムも予約可能という、旅程を組むときにタイムロスが出ない有難いお店です

    数日間煮込むデミグラスソースのビーフシチュー、ローストされた鳥の骨付きもも肉が一つ入ったカレー(結構量が多いので小食の人は半ライスにしてもらうがおススメ)が人気
    全般的にスパイスが効いているので、子連れで行った時はピザや唐揚げ、チーズなどを取り混ぜて注文すればファミリーで楽しめますし、カフェ利用だけでも良いそうで、ケーキセットやジュース類も充実しています

    あいにくの雨ですが、テラス席もあります
    セットのオニオンスープ、トマトの酸味がアクセント

    以前来たときはカレーを頼んだので、今回は二人ともビーフシチューをチョイス、ビーフはかなり煮込まれていて、口に入れるとホロホロに、スパイシーなソースと良くからんで絶品です
    温野菜とパスタは薄味なので、ソースをからめて口に運ぶと濃厚なラグーソースで味わうイタリアンのようで、2通りの楽しみ方が出来ました、ライスもついているのでしっかりランチを取りたい人にはとてもオススメ、ライスは1回だけおかわり無料のようです

  • 山梨県立富士山世界遺産センター

    富士山の歴史、信仰と芸術を知る

    葛飾北斎「富嶽三十六景」の中で「赤富士」と呼ばれる有名な「凱風快晴」。そのイメージのように、天気の良い夏の早朝、太陽光は波長の短い青色光が散乱してしまい、赤色光が富士山の玄武岩にあたって赤く染めます。

    葛飾北斎「凱風快晴」
    夏の早朝、赤く染まる富士山

    富士山はなぜ、これほど整った円錐型の姿なのでしょうか?
    それは、富士山があちこちの山腹で噴火を重ね、新しい層は17,000年という短い期間に粘性の小さい流れやすい溶岩を積み重ねたためです。粘性が大きければ強い爆発はあっても広い裾野を作ることはできないし、長い時間がかかれば水によって山体が削られて急峻な山容に変化します。富士山の噴火は、山体を削っていく時間を与えずに何度も溶岩を流して、現在の姿を造りあげたのです。

    その前の古富士火山の活動によって、現在の山中湖・忍野八海と本栖湖・精進湖・西湖の地域に二つの湖ができましたが、噴火活動による消長を経て、平安時代に864年の貞観の大噴火と937年の噴火によって富士五湖になりました。山中湖の湖面が標高982m、本栖湖・精進湖・西湖は地下水がつながっていていずれも標高902m、河口湖は830mです。富士山に川はありませんが、水はけのよい新しい層の下に水を通しにくい層があって、その間の胎内に豊富な水を宿し、麓に湧き水をもたらしています。

    本栖湖
    精進湖
    西湖
    河口湖
    山中湖

    たびたびの噴火は、人間に大きな災害をもたらしながら、周辺の地形を作り変えました。恐ろしい富士山は、太古から信仰の対象でした。噴火は山の神の怒りと考えられ、朝廷は富士山の神「浅間神(あさまのかみ)」を鎮めるために駿河国に神社を建てて祭祀に努めました。しかし広大な青木ヶ原樹海の溶岩を流した864年の貞観の大噴火で被害の大きかった甲斐国にも、新しい浅間神を祀る祠が建てられました。11世紀頃からは、修験者が山中で修行するようになりました。
    最新の噴火は江戸時代1707年の宝永噴火で、M8.2の元禄関東地震の4年後、M8.7の宝永東海・南海地震の49日後に起きました。高温の軽石が麓の集落に火災や建物倒壊の被害をもたらし、西風に乗って大量の火山灰が江戸などに降り注ぎました。千葉県市原市で火山灰が8cm堆積したことが確認されています。また火山灰は酒匂川などを氾濫させたほか、農作物に深刻な打撃を与えました。

    なるさわ富士山博物館

    道の駅なるさわに隣接しているなるさわ富士山博物館の展示やシアターでは、富士山の成り立ちなどの基礎的な知識を得ることができます。また、山梨県立富士山世界遺産センターでは、富士山がどのように信仰の対象になり、芸術を育んだかなども学ぶことができます。

    富士山世界遺産センター外観
    富士山世界遺産センターの展示

    山梨県立富士山世界遺産センター
    山梨県南都留郡富士河口湖町船津6663-1
    TEL: 0555-72-0259
    富士山世界遺産センター山梨県立富士山世界遺産センターページ

  • 黒曜石体験ミュージアム

    蓼科山・八ヶ岳山麓のマグマの恵み

    八ヶ岳と富士山に背比べのために樋を渡したら水が富士山に流れて八ヶ岳の勝ちとなり、怒った富士山の神様が八ヶ岳の頭を叩き割ったので今の峰々が残ったという伝説があります。

    茅野市から望む八ヶ岳

    特に南八ヶ岳には主峰赤岳(2,899m)をはじめ急峻な峰が連なり、首都圏からのアプローチが良いこともあって登山者の人気を集めています。
    八ヶ岳は、日本列島を分断して南北に伸びる溝であるフォッサマグナの中で誕生した火山で、200万年という長い火山活動の歴史を持ちます。活発だった火山活動の後、特に南八ヶ岳の西側斜面は長い年月の間に風雨が山を削り、この急峻な地形を作りました。

    これに対してややなだらかな北八ヶ岳で、白駒峰が噴火し川を堰き止めてできたのが白駒池です。標高2,115mにある神秘的な池で、周囲には数百種類と言われる苔が群生しています。

    神秘的な天空の白駒池
    白駒池付近の苔の群生
    もののけの森

    八ヶ岳と蓼科山の北西、白樺湖の近くに位置する鷹山(たかやま)。ここに黒曜石原産地遺跡があります。旧石器時代の3万年前から縄文時代にかけて黒曜石を採掘した跡です。
    この辺りは星糞峠と呼ばれていますが、キラキラ輝く黒曜石は星のかけらのようで、中部高地で黒曜石が出土する遺跡は星糞峠のほか、星ヶ塔 、星ヶ台など星の名がつく高原地帯で発見されています。
    黒曜石は、マグマが地上付近で急速に冷えてできる天然のガラスですが、どの火山でもできる訳ではありません。石を加工して道具を作るのは大変な苦労だったと思われますが、鋭い切り口になる黒曜石は加工しやすく、ナイフ状の石器や矢じりなどに使われました。旧石器時代には川底などから拾うことが多かった黒曜石ですが、縄文時代には穴を掘って採掘しました。産地から遠く離れた場所でも使われた跡があります。掘り出された黒曜石は、ふもとのムラからムラへと運ばれていき、ムラを結ぶ道は「黒曜石の道」となりました。八ヶ岳の山麓には、大量の黒曜石が集められた大きなムラが点々と存在していました。そこは良質な信州産の黒曜石を求めて遠くの地域から訪れる縄文人との出会いの場となり、東西文化の交流のネットワークが結ばれていました。

    黒曜石体験ミュージアム

    黒曜石体験ミュージアムでは、石器などの展示や説明から最新の研究成果を知ることができるほか、石器づくりなども体験できます。また徒歩30分に「星糞館」があります。是非お出かけください。

    星くずの里たかやま黒曜石体験ミュージアム
    長野県小県郡長和町大門3670-3
    0268-41-8050
    https://hoshikuso.jp
    https://jomon.co/point/detail/55/

  • 箱根仙石原おすすめイタリアン

    お気に入りのホテルが箱根仙石原にあり、今年も夏の避暑とグルメ探訪を兼ねて来ています、何よりこの場所が好きなのはリーズナブルで美味しいお店が多く、毎年再訪を楽しみにしているからです
    その1つ『SOLO PIZZA』は箱根から御殿場に抜ける大きな道路から、狭い道を入って坂を上った所にあります、その手前にやはりイタリアンの有名店がありますが、個人的にはこちらがおすすめ
    目立たない場所にありますが、この地域の人気店なので日時が決まっているなら、特にゴールデンウィークや夏休みは予約するのがベター、予約は一カ月前同日からスタートです

    イタリア古民家のような一軒家、箱根の森にとけ込んでいます
    入口すぐ可愛いタイル模様の焼き窯が目に入ります
    店名にもなっているので、やはりピザのメニューが多くオススメなのが分かります
    季節のメニューから冷静枝豆クリームスープとバーニャカウダー

    枝豆は粗越ししてあるので本来の食感も残しつつ、夏らしく塩味の効いたさっぱりとした味わい
    バーニャカウダはイタリアンの定番、濃厚な温かいソースに野菜をデップして頂きますが、こちらは更に焼き色を付けて提供してくれます
    そのソースをつけると、生鮮野菜を焼き野菜のような香ばしさで楽しむことが出来るという初めての感覚で、こんな野菜の楽しみ方があると改めて教えてもらいました

    お待ちかね、マリナーラとシチリアーナのハーフハーフのピザ、かなり大盤ですが、生地は薄めなのでサクサク食べられます
    向かって左がマリナーラ、トマト・ニンニク・オリーブで船乗りが好んだと言われるとてもシンプルなピザ、右がシチリアーナ、オリーブ・トマト・チーズ・アンチョビのしっかりした味わい、どちらも美味しいです

    メインは窯焼き(ピザと同じ窯で焼く)チキン、高温で一気に焼くのでシンプルですが、皮がとてもパリッとして炭火で焼いた焼き鳥の様な食感

    写真の鶏肉の下に同じ量のチキンが隠れているのでかなりのボリュームです、食べ終わるともう十分満足のディナーでし
  • 軽井沢とっておきのおすすめグルメ

    ジョン・レノンが愛したロイヤルミルクティー

    軽井沢を代表する創業130年の万平ホテルが、2024年秋に改修工事が完成し、この地で新たな歴史を刻む事になりました、リニューアル前に一度宿泊しましたが、ホテル内の色んな場所に歴史の重みを感じさせてくれるホテルです

    中でも多くの人で賑わうのが1階のカフェテラス、人気のメニューがジョン・レノンが愛したアップルパイとロイヤルミルクティーです、本人の直伝と伝わるミルクティーは、ホイップクリームがトッピングされてかなり甘口
    紅茶大国イギリス出身らしく、紅茶にこだわりが強かった人なのかも知れません、それほど複雑なレシピでは無いので、家でも飲んでみたい方はお気に入りのティーカップに注いで楽しんで下さいね

    材料
    ① 牛乳      500ml ※乳脂肪分3.5%以上
    ② アッサムの 茶葉 9g
    レシピ
    (1)牛乳を鍋に入れて強火にかける。
    (2)沸騰直前で弱火にして、アッサムの茶葉を入れて軽くかき回し2、3分おく。
    (3)茶こしで茶葉を取り除きながらカップに注げば完成。
    私はダイエット中なので、ロイヤルミルクティーだけです

    軽井沢で、スペイン王室も絶賛するグルメをお手軽に

    料理界の耳目を集めているのが、ホテル「トゥインラインホテル軽井沢」内に2020年7月3日よりオープンした、「ホセ・ルイス軽井沢」です(外来利用可)

    1957年マドリード発祥のこのお店は、スペイン国王から「トルティージャ(スペイン風オムレツ)がスペイン一」と称賛されるなど、王室御用達店として名声を誇っています、軽井沢駅近くのホテルに泊まった時、徒歩で初めて訪問して以来ファンに、ディナーはコースのみになって、コースだと重いので、今回は軽めのランチコースを食べログから予約

    暑いので、シャインマスカットのソーダとソフトドリンクを頂きます

    前菜は上の白いカップが、アメーラトマト(静岡で品種改良された高糖度のトマトで軽井沢の特産にもなっている)のガスパチョ、白いトッピングはココナッツのソルベ、暑い日にとてもさっぱりします
    向かって右から、牛すじのコンソメ煮、ムール貝と根菜のマリネ、マグロのスモークサラダ、どれも工夫されていて美味しい

    サラダは生ハムとマッシュルーム、もちろんイタリアのプロシュート中国の金華火腿並んで世界三大ハムひとつスペインのハモンセラーノ、軽井沢は高原野菜の産地が近く美味しいので、ハムのしっかりした味わいが野菜とベストマッチ

    海老出汁のフィデワ

    あまり日本では馴染みのないパスタのパエリヤで、基本的なレシピは同じでお米をパスタに代えたものです、諸説ありますがバレンシア州の港町でお米が足りなくてパスタを入れたらその美味しさが話題となり、スペインの地中海沿岸やバレンシア地方ではとても親しまれているメニューです
    こちらのパスタは上にカッペリーニという極細麺、下にフィデウア(極小マカロニパスタ)という二種類で、エビの出汁で煮込まれていてとても美味しいです

    デザートのフルーツ

    コース最後のデザートはバスクチーズケーキでしたが、糖質制限中なので食べログで予約する時に、果物に変更希望と書いておきましたが、高温・短時間で焼き上げてベイクドチーズケーキの香ばしさと、レアチーズケーキの滑らかさを併せ持つバスクチーズケーキも魅力的、スペインのパスク地方は美食家を魅了するグルメの街、いつかは訪れてみたい場所です

    旧軽銀座、とっておきのジャム屋さん

    軽井沢土産と言えば真っ先に浮かぶのがジャム、魅力的なジャム屋さんが軒を連ねる旧軽井沢銀座ですが、私が必ず立ち寄るのが銀座通りの奥の『ジャムのこばやし』
    明治時代から日本人と同じく、日本を訪れた海外の人たちに愛された軽井沢、それぞれの食文化を恋しく思うのは当然のこと、有名な老舗のジャム屋さんのほとんどが青果店を営業するかたわら、外国のお客さんのニーズに応えてジャムの製法を勉強し、改良を重ねてジャムの聖地として認知されるまでになったようです
    『ジャムのこばやし』の青果店時代にロシア人からジャムの製法を習い、当時の味を守りながら軽井沢でジャムを作り続けています
    店構えはこじんまりしていますが、定番のブルーベリーやリンゴの他に、プラムの一種である『レーヌ・クロード』(フランソワ一世のクロード王妃が好んだ事でこの名前がついている)、ルバーブ(野菜の一種)等珍しいジャムもあり、何度来てもまた新しい味に出会えます
    ネット注文も出来るのでお世話になった方に差し上げたたら、ご自身でも取り寄せるぐらい気に入ってもらえた友人もいて、普通のスーパーや百貨店等には置いていないレア感もあり、本当にお土産にうってつけです

  • 箱根ジオミュージアム

    箱根の火山活動の歴史を学べる

    江戸時代、湯本から須雲川沿いに畑宿、芦ノ湖畔の関所を通って三島に向かう街道は、多くの人が行き交い、今も箱根旧街道として知られています。しかし、その前の鎌倉時代、室町時代はこの道でなく、湯本から芦ノ湖までは湯坂道と呼ばれる尾根筋のルートが使われていました。

    精進池

    この湯坂道を登り切った精進池のあたりは、一面に溶岩が作った荒涼とした風景が広がり、天候が変わりやすい難所でもあることから、地獄と呼ばれ、またいつの頃からか賽の河原とも呼ばれました。ここには溶岩を彫って作った地蔵など多くの石仏が見られます。賽の河原で救われるためには、地蔵菩薩にすがるしかありません。

    固い安山岩に彫られた地蔵菩薩
    巨大な安山岩を彫って作られた六道地蔵

    父親を殺された曽我兄弟は恐らくこのルートを通り、かつて弟五郎が仕えていた箱根権現(現・箱根神社)に祈願したことでしょう。富士の裾野で開催された鷹狩りに参加し、首尾よく敵(かたき)の工藤祐経を討ち取りました。戦いで死んだ兄十郎、処刑された弟五郎の兄弟の墓が精進池のほとりにあります。

    芦ノ湖畔にある箱根神社の鳥居
    曽我兄弟の墓

    正月の箱根駅伝の山登り区間では、この近くに標高874mの最高地点があって、ここから一気に芦ノ湖へと駆け下ります。

    国道1号最高地点。駅伝選手はここから駆け下る

    このほど近くの溶岩台地に、かつての箱根七湯の一つ、芦之湯があります。多くの文人や絵師などが湯治のかたわら、東光庵薬師堂に集まって句会や茶会を楽しみました。太田南畝、賀茂真淵、安藤広重も訪れました。また、12,000年~13,000年前の黒曜石の石器が発見され、恐ろしい火山のもとでの人間の営みが想像されます。

    芦之湯の熊野神社に復元された東光庵

    箱根40万年の間の活発な火山活動は、外輪山や中央火口丘、カルデラなどの複雑な地形を形成し、豊かな種類の温泉を作り出しました。4万年前には仙石原湖ができましたが、3,000年前の噴火が芦ノ湖を作り、火砕流が仙石原湖を埋めて湿地帯を作りました。

    芦ノ湖と仙石原
    仙石原湿原。後方の森林は箱根湿生花園、背景は外輪山の金時山

    有史以来マグマ噴火は起きていませんが、大涌谷で噴き上がる水蒸気は、この山が活火山であることを物語っています。2015年には水蒸気噴火が起きました。

    水蒸気を噴き上げる大涌谷

    大涌谷にある「箱根ジオミュージアム」では、箱根がどのように形成されたかをわかりやすく説明しています。

    箱根ジオミュージアム

    箱根には湯本、元箱根、強羅など人気スポットが多く、訪日外国人観光客を含めて多くの人が訪れますが、このリゾート地を自然がどのように作って来たかを知るのも、楽しみのひとつではないでしょうか。

    箱根ジオミュージアム
    神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251
    TEL: 0460-83-8140
    箱根ジオミュージアム

  • やんば天明泥流ミュージアム

    八ッ場ダムで浅間山噴火の歴史も学べる

    軽井沢の矢ヶ崎公園から見る浅間山の勇姿。山頂からの景色はさぞかし素晴らしいでしょうが、この火山の頂上に行くことはできません。2004年の噴火の後は落ち着いているようにも見えますが、浅間山では現在も、1日数十回の火山性地震が観測されています。

    軽井沢の矢ヶ崎公園から見る浅間山の雄姿

    NHK大河ドラマ「べらぼう」に、浅間山の噴火で江戸の人々が恐れおののくシーンがありました。天明3年(1783年)に起きたこの噴火は、浅間山の歴史で最新の大噴火です。溶岩が流れて鬼押出しを作り、土石なだれ、泥流、火山灰は広い範囲に大きな被害をもたらしました。この年には岩木山が噴火したほかアイスランドで火山の大規模噴火があり、北半球で火山灰などの影響から極端な寒冷化が起こりました。これは天明の大飢饉に繋がっただけでなく、フランス革命の遠因にもなったと言われています。

    八ッ場ダムからの吾妻峡の眺望

    天明の浅間山噴火による死者の大半は、山の北側で発生した土石なだれが原因です。噴火の開始から3ヶ月近くが経った頃、溶岩が池に流れ込んで大きな水蒸気爆発が起こりました。江戸だけでなく、京や大阪でも爆発の音が聞こえたと記録されています。そして土石なだれが発生し、麓の鎌原村を呑み込みました。鎌原観音堂に駆け上がった人以外は助かりませんでした。さらに土石なだれが吾妻川に流れ込んで泥流を発生させました。これを天明泥流と呼びます。泥流は利根川、江戸川を下って東京湾にも達しました。無惨な遺体が流れてきたことが記録されていて、両国の回向院など各地に慰霊碑があります。

    やんば天明泥流ミュージアム全景

    群馬県長野原町には、吾妻川に2020年に完成した八ッ場(やんば)ダムに関連する様々な施設が整備されていて、川原湯温泉や吾妻峡とともに観光やグルメを楽しむことができますが、施設の一つに、「やんば天明泥流ミュージアム」があります。ダム湖の底になる前の発掘調査で見つかった縄文から江戸時代までの遺跡がここに展示されているなか、今のビルで20階の高さにも達するような天明泥流に覆い尽くされてしまった村々のそれまでの暮らしを、体感シアターなどでの被害の説明とともに展示解説しています。浅間山大噴火のすさまじい力を知るには欠かせないスポットです。

    ミュージアムのエントランス

    やんば天明泥流ミュージアム
    群馬県吾妻郡長野原町大字林1464-3
    TEL: 0279-82-5150
    長野原草津口駅から車で10分、道の駅八ッ場ふるさと館から徒歩10分
    https://share.google/Y3kgVKlMWTH2EQWaz


  • 八ッ場ダム - 施設が充実、多くの観光スポットとグルメ

    草津温泉や軽井沢を楽しむ時、日帰りで少し足を伸ばして、群馬県長野原町にある八ッ場(やんば)ダムを訪れてみてはいかがでしょうか?

    エメラルドグリーンのダム湖


    八ッ場ダムは、利根川の支流の吾妻川に建設されたダムです。調査開始から68年の歳月を経て2020年に完成しました。利根川は日本最大の流域面積を持つ川で、例えば東京都民が使う水道水の約8割はこの利根川の水に依存しています。しかしこれまで台風など大雨の際にしばしば洪水を発生させ、流域に甚大な被害を発生させてきました。その一方で、雨が降る年と降らない年での降雨量の差が大きくなってきています。近年の少雨傾向から、利根川全体の水が減少して渇水の危険性も高まっていました。八ッ場ダムは、この利根川の支流である吾妻川で利水、治水、発電を目的として建設された多目的ダムです。2019年10月の台風19号の豪雨は、各地で堤防の決壊を起こすなど大きな被害をもたらしましたが、試験湛水(たんすい)中でほとんど空だった八ッ場ダムを満水にした効果で、利根川は急激な増水を防ぐことができ、無事でした。

    業務用の階段


    しかし、このダム建設には複雑な歴史があります。強酸性の草津温泉と反対の優しいアルカリ性で「草津温泉の上り湯」と呼ばれる名湯の川原湯温泉は、かつての温泉街がダム湖の底となり、現在は移転先の湖畔で旅館が営業されています。先祖代々暮らしてきた人々がダム建設のために新しい住まいに移らなければならなかったことを、利根川水系の恩恵を受けている首都圏の私たちは忘れてはなりません。

    ダムから上流を望む


    さて、まず八ッ場ダムを見ましょう。「八ッ場見放題」という展望台から全体を眺めた後、「なるほど!やんば資料館」の展示を見て、八ッ場発電所のエレベーターでダムの下部に降ります。大量の水が噴き出ているところを間近に見るのは大迫力です。ここから吾妻峡の遊歩道が整備されています。

    ダムから下流の吾妻峡を望む


    展望台近くの「うどん専科 麦の香り」は人気店です。11:30頃に行くと既に満席、ウェイティングリスト2番目でした、10分程して着席、口コミでもオススメされている『野菜天のぶっかけ』を注文。群馬の山間で、コシのある讃岐風のうどんと出汁で、天ぷらは鮮度抜群の地元の野菜を大きめにカット、とても食べ応えがありました。


    また「道の駅八ッ場ふるさと館」では、嬬恋や北軽井沢のキャベツやトウモロコシの高原野菜、吾妻産のりんご等が並び、Yショップで併設されている店『森のパン工房』で焼き上げた14種類のスパイス入りカレーとポテトサラダをナチュラルチーズでせき止めて(仕切って)八ッ場ダムをイメージした ”八ッ場ダムカレーぱん” が人気です。

    道の駅八ッ場ふるさと館の店内。オリジナルのパンが並んでいる


    ダム建設に伴い、吾妻線の線路は上方に移りました。新しい川原湯温泉駅に隣接してキャンプ場が整備されていて、「川原湯温泉あそびの基地NOA」にはカフェもあります。

    移設された川原湯温泉駅
    川原湯温泉あそびの基地NOA


    さらに、観光船や水陸両用バスで湖面を巡るほか、レンタサイクルやバンジージャンプの施設もあり、1日ゆっくり過ごすことができます。特に、浅間山大噴火の歴史を学べる「やんば天明泥流ミュージアム」は是非立ち寄りたい場所です。詳しくはやんば天明泥流ミュージアムをお読みください。

    湖面を走る水陸両用バス


    八ッ場ダム訪問は、豊かな旅の1ページを作ることでしょう。



  • とっておきのグルメと観光

    グルメサイトや観光スポット案内サイトでは得られないとっておきの選ばれた情報を提供します

  • ジオ日本 学びの旅

    火山と地震の国日本における自然と人間の関わりを多面的に紹介します