隠岐諸島の成り立ちは、日本列島の成り立ちのなかでも非常にダイナミックです。隠岐は、大陸の地下深部、湖底、深海底、火山島、半島状の陸地、再び離島という変化を経て、現在の断崖、入り江、山地などが形成され、さまざまな岩石や化石が歴史の痕跡を残しています。2013年に世界ジオパークに認定されました。
- 約2億5000万年前 ― 隠岐は大陸の一部だった
現在の隠岐諸島の基盤には、大陸の地下で形成された片麻岩が存在します。
この時代、日本列島はまだ、隠岐とともに巨大大陸の東縁部に属していました。隠岐片麻岩は、大陸内部の地下深くで強い圧力と熱を受けて変成した岩石が、後のプレート活動や火山活動によって地表に現れたものです。同じような時期に形成された片麻岩が朝鮮半島にも見られることが、隠岐が大陸の一部であったことを示しています。

- 約2600万〜2000万年前 ― 大陸が引き伸ばされて湖が形成される
2600万年前頃から、東アジアの地殻が引き伸ばされて窪みが生じ、湖ができ、隠岐となる地域も沈降域に入りました。この時代の隠岐は、大陸の縁辺にできた湖の底でした。湖や河川で堆積した礫岩・泥岩・凝灰岩などが、現在の隠岐にも残されています。
約2000万年前のワニの歯の化石なども発見されています。これは、現在の隠岐がかつて温暖な陸水環境の中にあったことを示しています。 - 約2000万~1500万年前 ― 湖が海になり、隠岐は深海底へ
大陸の分裂がさらに進むと、湖だった場所に海水が入り込み、日本海が形成されていきました。隠岐となる地域は海底となります。
隠岐には深い海の環境を示す地層も残されています。たとえば、珪藻などの微化石を含む地層が見つかっています。また約1600万年前の地層からはサメの歯の化石も発見されています。このような海洋生物の存在から、このころには隠岐地域が海底にあったことがわかります。 - 約600万年前 ― 火山活動によって隠岐が誕生する
現在の隠岐諸島の地形を決定づけた最大の事件が、約600万年前の大規模な火山活動です。海底で大量のマグマが噴き出し、溶岩や火砕物が積み重なっていきます。やがて海底から火山体が成長し、海面上に姿を現します。
島前(どうぜん)の玄武岩や島後(どうご)の流紋岩など隠岐を広く覆う岩石は、この時代の火山活動の産物です。
西ノ島・中ノ島・知夫里島からなる島前は、中央に山地があり、その周囲を海と島々が取り囲む独特の形をしています。それは、この地域で火山体の一部が陥没してカルデラが形成され、海水が入って内海を島々が取り囲む地形になったもので、島前カルデラと呼ばれています。その後、中央火口丘が形成されました。


- 約400万~40万年前 ― 火山島として成長する
その後も火山活動は続きました。
島後で見られる粘り気の多い流紋岩の地層が火山活動で隆起し、島の山地や台地を形成しました。その後、侵食によって崖の多い険しい地形になりました。
一方、島前には粘り気の少ない玄武岩が多く、溶岩が流れてゆるやかな地形が形成されました。
隠岐の火山活動は、約40万年前に終わりました。


- 数十万年前以降 ― 島になったり半島になったりする
火山活動が終わった後、隠岐では海面変動が地形を変えていきました。
氷期には大量の水が氷河として陸上に蓄積されるため、海面が低下します。逆に温暖な時期には氷が融解して海面が上昇します。隠岐と本州の間にある隠岐海峡は浅く、現在でも70~80m程度の水深しかありません。そのため、氷期の海面低下時には海峡部分が陸地となって隠岐は島根半島と陸続きになり、逆に温暖化して海面が上昇すると隠岐は再び島になります。隠岐は、離島と陸続きという変化を何度も経験しました。陸続きになった時、本州の動物たちが隠岐に移り住みました。
最後に大きな海面上昇が起こり、およそ1万年前には現在のような離島の状態になりました。
隠岐は日本海にあって冬の季節風を受け、海岸では強い波浪による侵食が進みます。その結果、海食崖、海食洞、海食門、岬、奇岩、海食台などが形成されています。例えば西ノ島の国賀海岸では、火山活動によってできた地質構造を、数十万年にわたる海の侵食が切り刻み、現在の断崖景観をつくりました。


このように隠岐は、大陸の一部だった古い岩盤の上に、日本海の形成による沈降と、その後の活発な火山活動が重なり、最後に海面変動と海食によって現在の姿になった島々です。現在の隠岐の地表を歩くと、約2億5000万年前の大陸地下の岩石から、約2000万年前の湖・海底の地層、約600万年前の火山岩、そして現在進行中の海岸侵食まで観察することができます。隠岐ユネスコ世界ジオパークが、地球の歴史の様々な場面を体感できる場所として評価される理由は、ここにあります。


これに加え、島と本州の半島とを繰り返すなかで個性的な生態系が作られたことも、隠岐の大きな魅力になっています。固有のスギ、北海道や沖縄で見られる植物なども生息しています。

隠岐の自然は、人の歴史にも多くの恩恵を与えました。約3万年前から溶岩が急速に固まってできる鋭い黒曜石が産出され、狩猟や調理の道具として中国地方一帯で使われました。対馬暖流による温暖な気候のなか、島前のなだらかな草地で牧畜が行われ、中ノ島の稲作、良好な港に陸揚げされる豊富な海産物とともに隠岐の食文化を豊かにし、流罪となった後鳥羽上皇や後醍醐天皇が生活できる条件も整っていました。江戸時代には北前船の寄港地となり、各地との交流により隠岐の文化が育まれました。




隠岐自然館
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西ノ島ふるさと館
〒684-0302 島根県隠岐郡西ノ島町別府56−10
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